【まとめ】ヒプノセラピー(催眠療法)の歴史

ヒプノセラピー(催眠療法)の起源については、残念ながら確証を得られずに終わりました。今回は文献として残っている近代の歴史についてについてお伝えします。

ヒプノセラピストとして世界的に活躍なさっているMr.Tim Hallbom、Mrs.Kris Hallbomのヒプノセラピー養成講座でのメモを使いながら書き起こしています。

ヒプノセラピー(催眠療法)の手法が確立するまでの流れ

1734年〜磁石で病気が治る?

一般の人は、磁石がくっついたり離れたりする理由はよく分かっていませんでした。かつて磁石は魔法のような存在でした。

ウィーンの開業医のメスメル(1734-1815)は、石がくっついたり離れたりする磁石を使って、魔法のある場では気の流れが存在するのだと人々に説明していました。

魔法の石だと信じてその力にすがった人々は、磁石がくっついたり離れたりするのを見ると、笑いだしたり、泣き崩れたりしながら症状が回復していったそうです。

その噂を聞きつけた多くの人々が、カリスマ医師の治療を受けに訪れました。

病気になるのは、気や地場の流れがおかしくなるからというメスメルの理論は、実際には彼にカリスマ性があった点、施術的には暗示によるものだとも考えられています。

1795年〜ヒプノシス(催眠)誕生

催眠を研究していたイギリス人の医者ジェーム・ブレイド(1795-1860)は、メスメルの気や地場による人体への影響について興味を示し、外科医として催眠を研究しました。

そして、催眠療法を使いながら一切の痛みを感じることなく足の切断を行うことを成功させました。

ヒプノラピー(催眠療法)を成功に導くきっかけとなったのは、精神状態に問題があった患者さんが二人同時に来た時のことでした。

一人の患者さんに電球を見ておくように伝え、20分後に戻ってくると、その患者さんがトランス状態に入っているのを発見しました。

トランス状態とは、眠りに落ちるギリギリの手前の状態で、もっとも暗示が入りやすい時だと言われています。

十分に長い時間、電気を見るとトランス状態に入ります。そこで暗示を入れていくことで症状を変えられることを医学ジャーナルに論文を発表しました。

このことから、ギリシャ語の眠るという意味のヒプノ「Hyposo」から「Hypnosis」ヒプノシスと名付け、ヒプノセラピーが誕生しました。

日本語に訳すと、ヒプノ+セラピーは、催眠+療法となります。

1846年〜ヒプノセラピー(催眠療法)の衰退

外科手術にも使われていたヒプノセラピー(催眠療法)ですが、エテール麻酔が開発されてから医療業界から影を潜めることになります。

1900年〜短時間で催眠療法の効果を出す

催眠ショーを行う舞台催眠家たちは、電気を見なくても人はトランス状態に入るということを知っていました。

アメリカのデーブ・エルマン(1900-1967)は、そのような催眠ショーを行う舞台催眠家の息子として生まれました。そして、人をトランスに入れる術を自然と学んでいました。

それは、短い時間でトランスに入れるという優れた手法でした。

医者でもなく、心理学も学んでいないデーブ・エルマンから教わった手法は、アメリカ医療現場で早く催眠状態に入れることができるエルマンメソッドとして広まりました。

現在、アメリカの医療に携わる多くのお医者さまが、デーブ・エルマンの催眠誘導法を好んで使っています。

1901年〜催眠療法の可能性を拡大する

ミルトン・エリクソン(1901-1980)は言葉の魔術師と言われる催眠療法家です。言葉を巧みに使い心に働きかることを可能にしていきました。今日のヒプノセラピー(催眠療法)ではミルトン・エリクソンの技術が多分に用いられています。

彼の理念には人間関係が最も大切であり、全てのクライアントはセラピストに柔軟性さえあれば心を開くというセラピストとしての大切な礎を築きました。

戦争のトラウマを消すヒプノセラピー(催眠療法)

エーテル麻酔が手術で安定的に使われるようになってからは、麻酔の変わりとして催眠療法が使われることはなくなりました。

医療現場で目立った動きはありませんでしたが、脚光を浴びるようになったのは、一次世界大戦中と第二次世界大戦後です。

戦争で神経を患った多くの患者のトラウマを短期間で治療できたことから、ヒプノセラピー(催眠療法)は世界的に認められるようになりました。

日本でも、ヒプノセラピー(催眠療法)は心身療法の1つとして認知されています。ヨガ、カイロプラクティック、鍼灸、などと同じカテゴリーに属しています。

厚生労働省HP 総合医療より引用

まとめ

近代では、磁石や催眠ショーをきっかけとしてヒプノセラピー(催眠療法)の技術が向上してきました。ここから先は、流派に分かれていきます。あくまでも催眠学ととらえていたり、儀式的なスピリチュアルなイメージを大切にしている流派もあります。

ヒプノセラピーの歴史をたどると、一人の催眠についての発見が、のちの世での催眠方法の発見につながるタイムラインのようなものが見えてきます。

さまざまあるヒプノセラピーの手法では、見えているもの・聞こえているもの・感じているものを変えていくことができます。ヒプノセラピー(催眠療法)は、言葉を通じて神経に影響を与えることができるからです。

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